このレポートは、去る2018年12月1日(土)、赤門技術士会設立総会にて行われた東京大学教授・ものづくり経営研究センター長藤本隆宏氏の設立記念特別講演会の聴講記です。
特別講演「デジタル化時代と日本のものづくり技術」
12月1日午後16時30分、九州の講演先から駆けつけて下さった藤本先生のご講演が、とうとう始まった。どきどきの幕開け。
「じつは、明らかに変わってきているのです。いろいろなものづくり現場にはいりこんでみると、どこも受注が山積み、以前はなかったことが起こっています。潮目が変わったとその時から感じました」
そうだ、日本のものづくりの現場に活気が戻り始めているんだ。それにしても、東大の先生なのに、ずいぶんと企業の現場に入り込んでおられる・・・・びっくり。
「モジュラー型の産業を得意とするのが米中です。米ハイテク、中ローテクと棲み分けていたのが、中国がハイテクを狙いはじめました。だから米中が激突したのです、これも潮目の変わり。」
あーっ、米中摩擦は、そういう事なんだ。なぜか、説得力あるなー、今日のお話。
「GAFAは『恐竜型』の企業なのです。これに対して我が日本の企業は『ほ乳類』を狙うのです。」
恐竜型?ほ乳類型?どういうこと?
「現場を知らないマスコミの論調に疑問を持っています、ムードに流されず本質を考えることが大切なのです。例えば・・・・」
日本の現場力、まだ大丈夫かも。そうそう、近江商人の『三方よし』も日本の強み。
「工場自動化の例を挙げましょう。上空、地上の間に低空が出現しました。」
低空ってUS Air Forceと陸自の戦略? 違う。
「上空は、質量の無いICTの世界。ここで、大変化が起こっています。」
少し、わかってきた。日本企業が狙う『ほ乳類型』も分かった。大恐竜時代に強かに生き延びたほ乳類そのものだ。
「幾多の試練を乗り越えて日本のものづくりは確実に強くなりました。かつては現場が強くても本社がおそまつ、という話が多かったのですが、今や勝つ戦略を作り出す強い本社としぶとい現場の両輪がかみ合った企業が日本の中にいくつも生まれています。」
おー、元気もらえる!
「日本はもっと強気に出ていいと思います。経営者が弱気になっていては現場が浮かばれません。特に中小企業では。」
「最後になりました。潮目が変わってきました。弱気な経営者を叱咤しなくてはいけません。変わりつつあるときです。」
18時00分。気がつけば幹事の職務をすっかり忘れて、熱っぽく語る藤本先生の講演に、すっかり聞き入っている自分がいた。目からウロコ、技術士冥利、至福の1時間半!
[最後に]
拙いどきどきレポートを最後までお読みいただき、ありがとうございました。赤門技術士会では、これからも皆様に興味を持っていただけるような講演を企画して、皆様のご参加をお待ちしております。
レポーター:萩野 新
赤門技術士会は、東京大学を卒業した技術士を主要メンバーとする、事務所を持たない交流・親睦団体です。